鍼は現代西洋医学を超えるもの
なぜ鍼灸は現代西洋医学を超えられなければならないのか?それは現代医療の主流である現代西洋医学が多疾患にわたり医療的効果を上げられていないからである。社会は現状の現代西洋医学を超える医療を痛切に要望しているのであるから、それを超えられない効果に執着する鍼灸にはその存在意義がなくなる。鍼灸は鍼灸界のための医療ではない。
現代医療における鍼灸医療の医療的位置の在り方を明白にすることは、鍼灸の今日の存在意義、ならびにその発展に向けた起点になるだろう。そして国民が真に求めている鍼灸医療が現今の鍼灸界、鍼灸家が進めてきた伝統鍼灸理論の継承あるいはEBMの科学的有効性の証明のみでよいのだろうか、そして、従来の鍼灸が真の鍼灸の発展につながり、国民が求めている理想の鍼灸医療に向かっているのだろうか?
補完代替医療に社会の関心が向けられている潮流も単に癒し系の施術を求めているような安易なものではなく、現代西洋医学を超える医療を求める障害者、疾病者からの切実な声なのである。多疾患に効果を上げられないことが露呈している薬物と手術医療での現代西洋医学の限界を超える有効医療は、この西洋医学理論的壁を越えた医学でなければならない。その理想に応えられる医療が鍼灸に存在するのであるから、全国の鍼灸臨床家全員が鍼灸を現在のような現代西洋医学以下の水準に甘んじていなければならない理由はない。
COVID-19の治療で現代医療の無力さが露呈されただけではない。間質性肺炎の平均生存期間は3~5年とされ、喘息でも薬品使用する限り完治しない。各呼吸器疾患の実態から全内臓器疾患、運動器疾患、五官器疾患に至るまで、明確な効果を上げられていない現代医療の現実を読み取ることができるがそれに歩調を合わせ、薬物治療のない鍼灸までが種々疾患を治さない医療をする必要がないのである。
なぜ鍼灸が効果を上げられないのか?種々理由があるが、最大の問題は理論的解説に拘泥し臨床現場を秘匿する鍼灸の秘密主義に集約されるだろう。臨床を秘密化する鍼灸はすべて種々疾患に有効であるという解説にならざるを得ないからである。現代西洋医学を超える鍼とは何か?古典鍼灸理論がそれを超えられないことは中国での中西結合医学の存在に例をとれば容易に判断がつくし、科学派鍼灸においても有効か否かの研究と論議に血道を上げている状況を知れば言葉は要らない。従来の鍼灸理論の柵を外せばよいだけのことである。鍼灸とは陰陽五行である。鍼灸は鎮痛効果であるという柵を外し、治ることを追求すればよいだけである。
その治る鍼を追求し、臨床公開を基本とする鍼治療がこの新鍼灸法(半身症候鍼灸)である。新鍼灸法は治る鍼、現代西洋医学を超える鍼を常に発信している。