神奈川県 石垣 敦朗先生|半身症候鍼灸研究会は技術向上を望む鍼灸師、医師、鍼灸学生の為に新鍼灸セミナー、講習を随時開催しています。

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鍼灸臨床見学

神奈川県 石垣 敦朗先生

 見学当日に待合室で待っていると、最初の患者さんとなるご家族連れ等が受付に来られて、この方達が高血圧や大動脈解離、先天性障害など、自分に特に関心があるものを主訴とするのを知って、今回この診療を見学出来た事に何かしらのご縁を感じました。

 中でも興味深かったのが大動脈解離の手術経験がある男性とそのお孫さんと思われる先天性の障害を持つ女の子の診療でした。前者の男性は、診療の前後で動作や心機能が向上してご本人も喜ばれていて自分も嬉しかったのですが、大動脈解離を起こした原因を追った結果、血液検査の静脈注射時に細菌感染した事、元々血管などに問題があったわけではないというのを聞き驚きました。

 その前に男性の奥様も診療を受けており、病院で左胸部にあるしこりが乳癌の疑い90%と言うのに対し、茂木先生の見立てで100%悪性腫瘍ではなく肋骨の骨折由来で、骨折部の操作で患者さんが触って分かる程にしこりが小さくなるのを見ており、病院医療の曖昧な診断が招く誤診や医原性の病がかくも有る現実に、鍼灸学生時代、ある医師の非常勤講師が、今世の中にある病気などの根本原因は特定されている一部の細菌やウイルス感染のもの以外、実は9割分かっていないと言っていたのを思い出しました。

 後者の先天的に全身の靭帯が緩んでいる症状の女の子は、自力で手足や体を動かす事が困難ということですが、知的に問題ない様子でご家族や一緒に来ていた知り合いの方々と小学校に上がった話など明るくやり取りしているのが逆にいたたまれない気持ちになりました。その子の先天異常の原因は風疹ウイルスによるもの特定され、僕自身が先天性内反足の障害を持って生まれ、茂木先生の診療を受けて初めて同様の原因であると言われていたので、これもまた何かの縁だなと思いました。気鍼による治療後、いつもより女の子が左腕を動かせたりできるのを見たご両親が喜びと驚きの声を上げた時は、先生の後ろで診療の邪魔にならないようなるべくジッと見学していた自分も身を乗り出して様子を見てしまいました。

 先生が「これから治療していってどんどん良くなっていくのが楽しみだ」と言ったのを聞いた時、四半世紀くらい経ち、女の子が今の自分と同じくらいの年頃になったらどのように回復しているのか、自分もこの新鍼灸法を深く学んで体得していく中で経過を知ることが出来たら素晴らしいなという考えが頭に浮かびました。そして、先生が女の子やご両親に語られていた「障害を持って生まれてきている方が、様々な経験や体験が得られるから良いこと」というのが自分にも言われている様な気がしてなりませんでした。より自分に自信が持てました。

 最後になりますが、見学を快諾してもらったにも関らず何時からにするか確認し忘れ申し訳ありません。その一方で縁ある患者さんの診療に立ち合わせて頂き誠に有難うございます。

平成29年4月