東京都 A・S先生

 鍼灸学校に入学して、まだ数週間しか経っていない中でしたが、縁をいただき、茂木先生の治療室に伺うことになりました。そして、それは本当に幸運なことだと感じました。患者さんが語る前に身体全体を的確に見極めていく治療は既存の(私が今までにそうだと思っていた類の)医療の枠組みを超えたものであり、本質的な治療であり、非常に学びの大きい体験でした。

 特に印象的だったのは、金属の鍼を用いずに「気鍼」で治療する技術です。これまでに見たことも聞いたこともない、気の流れを整えるということが鍼を介さずに行われている技術で、直感で感じる体験をさせていただきました。また、先生が透視診断された結果に基づいて最小限の刺鍼を行うと、患者さんの表情がみるみる変わり、明るくなっていく過程を隣で見学させていただき、感動しました。言葉で完全に説明することは難しいものの、確かに良くなっていく姿がそこにあったからです。病院では、こういった変化をみることは100%ありませんでした。

 中でも、身体に対する感謝を持てていない患者さんへの言葉かけは、強く心に残りました。患者さんは様々な症状を抱え、自身でも問題を複雑化させてきた背景があるように感じられました。そのような患者さんに対して、先生が「これまでこんなに頑張っている身体に感謝できていないことが悲しくて涙がでちゃう」と語られた言葉は、数日経ってもずっと深く印象に残っています。どんなカウンセリングよりも、人の心に届く言葉だと感じ、患者さんに表情の変化があったことや、身体そのものに働きかけることで心に変化ももたらしている向き合い方に、強く心動かされました。この患者さんは精神科や心療内科でもおそらく対応が難しいとされるのでは、と推察しますが、先生の治療で変わっていく様子を間近でみることができました。

 資格を取っても、実際に開業できる人というのはごくわずかであり、続けられる人も限られているという話を以前から耳にしていました。茂木先生からもそのようなお話を伺いました。その現実を踏まえた上で、今回の臨床見学を通して、「私は治す鍼灸師になる」と誓いました。鍼灸学校における授業は、国家試験対策を中心とした指導が多く、まさしく先生がおっしゃったように人間が造った麻薬で、あやうく私も、学校で良い成績を取ることにフォーカスしそうでした。さらに世間では集客やリピーターなどという言葉、経営的な話題ばかりで、私はその先にある「本当に治せる技術」を追求したくて学校に行ったのに、と思っていました。今回このタイミングの臨床見学で、私は茂木先生から覚悟を問うていただきました。5月からのセミナーに参加し、学びを深めていきたいです。今後ともご指導ください。よろしくお願いいたします。