鍼灸の効果|半身症候鍼灸研究会は技術向上を望む鍼灸師、医師、鍼灸学生の為に新鍼灸セミナー、講習を随時開催しています。

メッセージ

鍼灸の効果鍼灸学生の方へ

鍼灸には、客観的な見方として効果があいまいということがあります。この点から病院医療における鍼灸は低い評価しかされていないのでしょう。古典鍼灸理論、あるいは現代医学的鍼灸理論どれを採っても理論上に限っては、完璧かもしれませんが、果たして効果の実証が伴っているのでしょうか?日常遭遇する多くの疾患に確実な効果を上げているのでしょうか?

指導者の中からは鍼灸は悠久の歴史を有している。西洋医学と違い、伝統として残っていること自体が科学的根拠であるという理解し難い声も耳にします。呪術と一緒では困ります。

臨床上、痛み一つとってもきわめて複雑です。四肢関節系の痛みにしても、現在多くの痛みのケースでX線、MRIの画像から骨格の異常がない、骨は正常という整形外科の診断がされています。この点、鍼灸では検査ができるのでしょうか?骨は正常という見方の元に、診断ができないが治療をする方式の対症療法にならざるを得ません。急性の上腹部痛なども救急医療で鎮痛剤を打つくらいで、一両日後、痛みの消失と共に原因不明のまま退院させられる疾患が多発しています。各鍼灸理論で複雑多岐にわたる人体各部位、部分の痛みについても説明できるでしょうか?なぜ痛むのか、なぜそこが痛み、なぜ一部位だけに障害が生じたのか?腰、下肢の痛み側と上肢の痛み側が逆のケース、手指の痛みが一指だけなぜ反体側に生じているのか…等々、その障害の程度についても明確に説明ができるでしょうか?直ぐ治る痛み、なかなか治らない痛み、その理由を説明できるのでしょうか?更には、終末期の悪性腫瘍での疼痛緩和、あるいは一縷の治癒の望みをかけて来院する患者に対して、いずれも治療の要点は腫瘍の変化を知ることであるはずです。

痛み一つ取り上げても、現代医学理論、あるいは古典理論で説明ができるほど生体機能は単純ではありません。人体は小宇宙と称しても、具体的人体細部の説明ではあまりも粗雑です。脈診では、最も関連がある心臓の詳細な検査ができない。患者の立位、座位、仰臥位それぞれの体位で脈状が変化します。また検査する術者の立位、座位によっても患者の脈状に変化が生じてきます。あるいは脈をとる各術者によっても、患者の脈状が変化してしまいます。

よく聞かれることで、「なぜか理由が分からないけれど、このツボで治るのですよ」  という鍼灸指導者の、自らのあいまいな臨床を恥じることなく、逆に誇らしげに語る例も散見します。検査に基づかない刺針を普通に行い、それは人体全体が見えていない対症療法であることにも気づかないようです。著名な指導者でも治ることが多くはないのでしょう。  悪性腫瘍なども疼痛緩和医療一辺倒、あるいは進行を遅らせればそれを良とする傾向を否定しませんが、鍼灸では悪性腫瘍を治してはいけないかのような圧力をかける空気さえ一部に感じられます。一部の病院勤務鍼灸師の医師におもねる影響かもしれません。

理論に基づいた刺鍼をしても、事前に効果の予測が立てられない。刺鍼後もし効果が見られなければほかの方法を行う。遠道刺、巨刺にしても、効果が上がる場合と効果が上げられなかった場合の理由を説明できない。その症状部位と刺鍼部位とはどのような関係があるのか?症状が消えればそれでよい。残存するときは治療が不完全として他の処置をすることが多いなどあいまい性が見られます。つまり、刺針の解剖学的作用が説明できないのです。

正確な治療がなされても症状が消えないとき、誤治療でも症状が消えることがあることを知らない等、種々な面で不確実な要素を抱えています。

鍼灸臨床はわずかでも検査に甘さがあれば効果が上がりません。いくらまぐれで著効があったとしても、それは的確な検査での効果を知らないからです。常に治療効果の向上が計れる鍼灸理論が存在していなければ、以上のような多くの矛盾を内包し、それが隠されたままの鍼灸臨床となってしまいます。

正しい治療はすべてにおいて正確な検査から始まります。検査がすべてで、その原因探求に一点の曇りも許されません。より正確な検査、即より高度の治療効果となります。偶然の効果など求めてはなりません。これは鍼灸臨床とて例外ではないと考えています。