新鍼灸法について|半身症候鍼灸研究会は技術向上を望む鍼灸師、医師、鍼灸学生の為に新鍼灸セミナー、講習を随時開催しています。

新鍼灸法について

鍼灸は如何にあるべきか?

鍼灸は民間療法ではない。伝承民間療法でもない。現代社会の医療をリードするものでなくてはならない。

それらのためには何より治る医療でなくてはならない。既成鍼灸の問題は治っていないところにある。一部には優秀な整体師もいるが一般的無資格者の整体に営業圏を狭小化されている。

なぜか?鍼灸は身体の部位、解剖学的部位の診断ができない。腰椎1個についての圧迫骨折、腰椎分離、変形性腰椎、骨棘化、辷り、整列異常(変位)、靭帯骨化、脊髄腫瘍、髄膜腫瘍、髄膜の炎症、脊柱管の狭窄、椎間板後方・側方ヘルニア、奇形、腰仙移行椎、脊髄膜の感染症。

網膜変性について、中心か? 内側か、上部か、下部か、黄斑か。人体どの組織についても各部位の診断がでない。診断ができないものは治せないのが治療の大原則である。

それは効果の有無も分からないからである。24個の脊椎一つ診断出来ない鍼灸を、治療法と言えるのだろうか?骨を知らない鍼灸は治せない。

新鍼灸法、鍼治療の原則

鍼治療は、治療理論に基づき鍼で治すものに非ず。全身組織すべての異常を診断し、全身異常組織をすべてが治るところに刺すもの。生体治癒力は全身組織の異常を正常にする箇所を知っている。従い、治療は解剖学的人体全組織を網羅した診断が出来なくてはならない。

1.なぜ新鍼灸法(半身症候鍼灸法)か?
新鍼灸法

新鍼灸法とは何か? 中国鍼灸でも日本国内、既成鍼灸法でも一部科学派鍼灸を除くと、鍼灸理論の基本に、古典鍼灸理論(「素問霊枢」「難経」を中心とした)がある。

従って従来の鍼灸では、経絡、気血理論、陰陽五行説から外れる鍼灸臨床はあり得なかった。 この既成鍼灸理論に対して、これらの古典鍼灸理論をすべて排除している鍼灸法がある。

解剖学的医学理論に基づき、さらに古典理論とは異なる現代の治療家が自身の知覚で治療効果を実証できる、新しい気(生体エネルギー)理論とを結合した鍼灸法である。これを新鍼灸法という。

新鍼灸法の価値?

既成鍼灸法に対して別個の新たな鍼灸法を平成5年に創案した背景には、従来の古典鍼灸理論化した鍼灸治療が、現代社会の疾病治療、健康回復の要請に全く応えられていないことがあった。

この新鍼灸法がもし従来の鍼灸法の治療効果と差が無いのなら、この新鍼灸法を指導する当研究会も発足していないし、中途からでも解散する。社会の要請に応えられているかどうか、以下の記述から判断してほしい。

鍼灸は治らなくてはならない

鍼灸界では東洋医学は、西洋医学と異なる医学であり、西洋医学で治らない多くの慢性疾患を治せると喧伝してきたが、東洋哲学に基づく東洋医学だと言っても、今日の大衆には鍼灸師自身が自負するほどの歴史性だけの幻想は通じなくなっている。

西洋医学が体質性の多くの慢性疾患を治せないことからの、鍼灸に対する期待感も薄れてきている。鍼灸が効果を上げて、全国の病院経営が危機感を抱く兆候も全くない。

全国の登録鍼灸師17万人のうち実際の鍼灸臨床に従事する者もわずかで、鍼灸学校学生も在学中から卒後の鍼灸臨床に向かう意欲をなくしている。

ある著名な古典鍼灸指導者も生前、古典鍼灸を指導しながらも鍼灸は将来廃れると語っていた。それではなぜ彼はその指導していたのか不可解である。

治療界の現状

この鍼灸界の地盤低下現象に対して、現代社会が持つ健康障害の問題は深刻である。現代西洋医学が多くの健康障害者を救えないなか、ここに説明する新鍼灸法は画期的に多くの疾病、障害に苦しむ人々を救っている。

真に病苦に苦しむ人々の痛みを思い、病者を救う志を有する鍼灸師ならば、この新鍼灸法に関心を向けるべきであろう。現代社会の健康事情は、鍼灸界が我々は高尚な東洋哲学理論に立つ鍼灸治療家であると安逸をむさぼっているときではない。

西洋医学が高血圧を治せず、降圧剤を飲ませ、喘息に発作を止めながら呼吸が浅くなる内服薬、吸入剤を処方して病気を恒常化させる。健康診断の採血からの感染でも多くの難病を発生させている。

鍼灸界の現状

これに対して鍼灸は副作用のない自然療法だなどと、安心してはいられない。症状の治癒反応としての意味を知ろうとせず、治療により、生体の恒常性機能を低下させ治癒を遅らせていることにも気づいていない。

西洋医学には限界があり、他の補完医療の鍼灸をはじめとするすべての医療には、これらの社会の要望に応えられる医療は存在するのだろうか?その医療改革が可能な可能性を持つ治療法に、唯一鍼灸治療がある。

そして、この可能性は鍼灸以外には見出せないということにも鍼灸師は気づく必要がある。既成の鍼灸観、鍼灸理論にとらわれない、刺鍼治療ということに直視して解釈するのならば、治療効果レベルを画期的に向上させる可能性は治癒力の存在する限り無限なほど存在する。

最も重要なことは治療理論に、その人体の治癒力の診断法が存在するか否かである。古典理論をはじめ、それぞれの治療理論の型に流し込んだものなら、その治療効果は現状の鍼灸法のように限界があると言わざるを得ない。

既成の治療理論の型を排除する、刺鍼と人体現象との関係を原点から観察することから、既成の鍼灸理論に存在しない治療世界が拓かれてくる。そこから現代医療を救える医療改革としての鍼灸効果を充分望めるのである。

その医療改革に向かう鍼灸法を筆者は実践し、広く各鍼灸師にも指導している。鍼灸師は、身近の既成鍼灸法しか見ようとせず、より効果のある鍼灸法を探そうともしない。

鍼灸臨床の実体、実力は個別の各臨床家自身の治療室でしか、目にすることができない。治療に対する志を有する鍼灸師は、指導者に臨床見学を請うことである。それを拒む指導者なら、それが指導者の実力であることを知ることにもなる。

優れた指導者ならばそれを拒むことはない。高度の鍼灸法を求めるのが本来の鍼灸学校学生でありながら、鍼灸学生にもその熱気が全く見られない。全国の鍼灸学生にその熱気が生じて来たときに、日本鍼灸は、国民の期待する鍼灸改革が可能になるのである。

治る鍼灸改革は何か?

回答は、ほかでもなく、ただ治療効果を上げる鍼灸を見直し、追求すること以外にない。エビデンス化という西洋医学の亜流を目指すより、高率の治療効果を追求することである。

未だに鍼灸界は普及啓蒙を叫ぶ。現状の低効果鍼灸の普及啓蒙は空論である。患者を治すのは業界ではなく鍼灸師個人である。鍼灸師個人が治療効果向上の熱意を持ち、個人が国民に信頼される治療家にならなければならない。

ネットで「肩凝りの鍼灸治療は、一時的効果があるだけで治らない」という声が満ちているのである。

治る鍼灸とは

画期的治療効果向上策は何か?鍼灸界の誰もが持つ関心ごとであるが、戦前、経絡治療理論が確立し、戦後70年経過した今日、真に治療効果水準は向上したと言えるのだろうか。

この治療効果の低水準の問題は、治療理論に問題があるとしか思えない。同じ理論的土壌から別のものは生まれない。画期的治療効果向上は、既成鍼灸理論とは全く異にする鍼灸理論、治療法に依拠するものでなければならないのである。

治る治療は解剖学的診断が不可欠

素問霊枢、難経の示す膨大な理論体系も、病者という多機能が躍動する生命現象を前にしたとき、解剖学的組織の診断を無視した概念的生体論では太刀打ちできないはずである。

西洋医学は人体の障害をX線、MRI、エコー等の画像でとらえる。各画像診断には、それぞれの診断能力範囲でしか解明できない。また、いかに古典理論が偉大であっても、古典理論という投網の目をすり抜ける小生物は一切存在していないことになる。

胃腸、肝臓、脾臓、膵臓、胆嚢、子宮、卵巣、卵管。胃にしても部位は噴門か、体部か、幽門か分からない。鼻炎の各副鼻腔、頭痛の原因部位は脳か、髄膜か、どこか? 診断できないものは治せないと言うのが新鍼灸法でのセオリーである。

古典の矛盾と透視

扁鵲は脈診の大家ともされ、「医師で脈診を論ずる者は、すべて扁鵲の流れを汲む」とされている。実際には透視ができたので、扁鵲自身は脈を触れずに、脈状まで知ることができたはずである。

これは筆者自身がそれを実践するから言うのである。筆者自身、30年前後、国内から海外の患者に至るまで大勢の遠隔治療をしている。海外では骨折、卵巣膿腫、脳梗塞による歩行障害など、あらゆる疾患に及んでいる。

セミナーでも永年披露している。評論家の黄文雄氏は「東洋医学の神秘とは、驚異的医療効果にあるのではなく、誰にも伝えない秘密主義にあるのだ」と喝破し、祖伝秘方主義(秘密主義)は古代中国からの流れであると言っている。

専門外の人の見方はシビアである。現代中医学に対しても権威便乗せずに、中身を見る冷徹さが治療家には欠かせない。

透視を重視

筆者が透視診断を骨子とした鍼灸法を創案して25年になる。既成の鍼灸効果の現実を直視し、新たな鍼灸の理想を追求する鍼灸師に、この新鍼灸法を伝授する研究会を主宰してきた。

深く踏み入れた者はその効果に戦慄を覚えるだろう。それは同時に患者からの声でもある。既成鍼灸法の世界とは全く別ものである。投網では水を掬えない。掬えない物はないのである。筆者はその探求を望む者に、そのガイドをしている。

特効穴は診断ではない

鍼灸にはなぜ無数の経穴が存在するのか?360穴か?更に、経穴名の上下に、下(しも)上(かみ)など加える。正確な骨度法が重要なら、この多数穴の存在も意味がない。

360穴なぜあるのか?それは人体を部分からとらえ、確実に100%の効果を上げられる選穴の診断理論が存在しないから、必然的に多数穴を積み上げることになったのだろう。

人体組織・器官の全体が連関しているから生体活動が可能なのであり、少なくとも中枢である脳と脊髄が正常化すれば、回復力のある限りほとんどの疾患が改善するだろう。

そして脳・脊髄に限らず、全組織、器官のネットワークすべてに波及するポイントに刺鍼すればよいのである。脊髄左右の灰白質、白質診断、大脳皮質、髄質の診断が可能だろうか?それを新鍼灸法では実践している。

症状を重視する古典理論では、その根源である脊髄灰白質の診断に関心がない。それら全身組織、器官での機能回復を伝達させるポイントを発見し活用しているから、新鍼灸法という。

治る鍼灸は脊椎の診断が基本

鍼灸師に問う!まず、何はともあれ、診断において脊椎を診断しなさいということである。頭蓋、仙骨の副交感神経、胸椎、腰椎の交感神経の神経根を介して分布している。

脊椎、仙骨の調整で全内臓、そしてすべての骨格筋、関節障害を改善できるのである。一切の古典鍼灸理論が必要ない。鍼で治すのではなく、治る所に刺鍼するのである。

伝承された刺鍼技術、刺鍼理論ばかりにこだわり、自らの生体の診断を忘れている。この脊椎、仙骨のみでほぼすべての疾患を確実に改善できるはずで、国民の健康に大きき貢献する鍼灸界となる。

伝承された刺鍼技術、刺鍼理論ばかりにこそれはその骨格のみ、脊椎あるいは頭蓋骨の調整のみで、正当医学と並ぶ社会的地位を得ている米国のオステオパシー、カイロプラクティック医学の存在が証明している。

現代の高度鍼灸を目指すのなら、扁鵲が指導した脈診ではなく、解剖学的全組織を診断するには、同じ扁鵲自身が実際に実践していた鍼灸法、透視治療をすることが必要条件である。

同時に全身を流動する生体エネルギー分布も知ることができる。その人体内空間の気の流動阻害領域、それが正常化しなければ多くの難病は治せない。その気の流動障害領域を半身症候と名づけている。

2.鍼灸界は?

登録鍼灸師は17万人である。しかし、大部分の鍼灸師は鍼灸業務に従事することすら困難になっているという。多くの鍼灸師は結果的に、治せない鍼灸資格を取得するために、鍼灸学校に入っている。

資格の所有が、治せることとは関係がないという現実を少しも見ようとしない。見通しの甘さが治せなくしている。人体の治療は肉眼で見えない人体を知るものであるから、人体を知る診断力の不安が臨床の不安を増幅させ、患者の回復を阻害させることになる。

この臨床状況では患者という生体は、術者の接触刺激に拒否反応を生じる。この状態を治療における邪気という。臨床時、鍼灸師自身の心身のバランスが常時、崩れない状況を維持できないと、正しい診断、正しい治療は不可能となる。

鍼灸は、これからの医療として、世界的に脚光を浴びているという声も耳にして久しいが、これも鍼灸界、学会の指導層の立場上の常套句に過ぎない。

実際の国民の評価はきわめて低い。米国でも、国内でも社会問題化しているという過敏性腸症候群(IBS)や、ジストニアをはじめ多疾患が問題視されている。

医学界では、心と体の相関関係を取り上げた心身医学が注目されてきたが、半面、原因究明を怠り、なんでも心因性疾患にしている。ストレスが腸障害を作ると言い、逆の腸の変調がストレスを生むという発想もない。

ストレスが原因であるという検証もできない。ジストニアの原因ばかりか、脳・脊髄での障害部位も特定でない。各脳室、大脳辺縁系、基底核の診断もできない。薬物とボトックスなどの菌毒注射が正当医療なのだろうか? 現代西洋医学こそ、各分野においてエビデンスに基づいているか否か疑わしい臨床が数多く存在する。

耳鼻科での中耳炎、内耳炎、難聴をはじめ喘息、気管支炎、便秘、胃腸障害のような身近なありふれた疾患が治らない。喘息の薬物など、服用直後、あるいは吸入直後、呼吸量が低下する。

多くの疾患に対する処方が人体機能を視覚、触覚で観察すれば明らかに機能低下している。科学に反することも一面からエビデンスとされている。リンパドレナージュの弾性ストッキングも静脈還流を悪化させる。これは一例に過ぎない。

中国・中医学鍼灸でも、腰痛の刺鍼が効果ないと中医師が神経ブロックをすることもある。中医学の導入も、その権威に便乗するばかりで一貫性がなく、矛盾の多い点に疑問を感じなのだろうか? 深部の靭帯の固着を剥離する小鍼刀という鍼や、薬品を注入する水鍼まで存在する。

多くの難治疾患の原因に運動器疾患での微細骨折があり、並んで圧倒的に多いのが感染症である。原因である感染症についても病原体を同定できない。

手術などの院内感染であれば、その事実を明かせない。感染源もワクチン、採血からの感染症が非常に多く、健康診断の採血からの感染で難病が数多く発生している。

医療界に大混乱をきたす大問題の存在さえ鍼灸界は気付かない。これらの多くの疾患は旧来の鍼灸では対応できない。現実を直視せず、なんの疑問を持たずに古典理論の信者になっていた。

このような鍼灸理論では、一人で患者に立ち向ったときに右往左往するしかなく、鍼灸臨床からの挫折例があまりに多過ぎる。あるいは臨床に踏み出す前から鍼灸界の現実というプレッシャーに挫折している。

何よりも多くの鍼灸師の臨床に対する熱意の無さにあきれるしかない。多くの西洋医学同様、生体は治るように出来ているということにも一生気づかない。

今日の医療が多くの医原病を生み、多くの自然治癒力の発現を阻害していることにも気づく必要がある。鍼灸とても、情熱なき臨床は患者の治癒力を低下させることも知らなくてはならない。

各鍼灸法理論では重要な解剖学的組織、内臓、骨格診断、脳診断を西洋医学にゆだねているが、新鍼灸法における指導では、これら解剖学的診断を含めた望診を重視している。

これは五行の色体等の望診ではなく、着衣上から内臓器、脊椎の異常部位、脳の異常部位をとらえる望診で、術者自身の感覚で生体組織をとらえるものである。

婦人科では、子宮内の各部位、卵巣の炎症、卵管の狭窄の有無、そしてその大部分である感染症の同定診断をしている。扁鵲が駆使したと言われる透視的望診である。

その透視診断も近年のセミナー受講者では修得が早く、最近では基礎シリーズ初参加者が2~3回目の受講でほぼ全員が気の流動障害側を透視し、半年ほどの参加者では腎臓の変位状況を正確に透視診断できていることに、指導する筆者自身が驚いている。

鍼灸学会について思うことは、研修会講師になぜ医師を呼ぶのか?医師を呼んで満足してないで、なぜ医師会の研修講師に鍼灸師派遣が要請されないのか?医師は人体に有害な薬物とメスしか武器がなく、鍼は治癒力の導くところ全身疾患を回復させられる。

鍼灸的臨床に未熟な医師の講義を有難がる医師コンプレックスは情けない。鍼灸界が自ら鍼灸を貶めているようでは、鍼灸が国民の信頼を得ることはできない。

経絡のスピードを中医学では、経絡感伝速度としてデータを発表している。1秒間に10cm前後とされる。なぜ、それほど遅いのか?それが経絡であるならば、中医学の経絡とは何か?筆者の臨床では後頭部へ深さ1mmの1~2点の刺鍼後、即血液循環が良くなり、2秒で足部までポカポカ温かくなっている。灸など要らない。

新鍼灸法で重視する「新しい気」理論での伝達時間は、頭部から足部まで1秒である。それが新鍼灸法で置鍼が無用な理由の一つである。ただ、刺鍼後のチェック時間のため30秒くらいは、刺鍼のままになっている。

既成鍼灸の数10分の置鍼は、感覚神経の鈍磨作用が波及させ、患者に納得させる必要時間なのである。この置鍼および散鍼は知覚鈍麻により症状をぼかすが、治癒能力を低下させている。

これが社会からの「鍼は一時、楽になるけど、すぐ戻る」という評価になっているばかりでなく、鍼灸師自身がすぐ戻るものと当然視している。鍼灸の真の発展は、個々の鍼灸師自身が治療効果向上に挑戦することしかない。

そのためには鍼灸の閉鎖性の打破が必要となる。学会の研修会、学術発表どれを採っても、実際の臨床公開による効果の討論はない。見せるだけの学会の研修、口演と文章での実際の臨床公開のない学術発表会が鍼灸界の発展を阻害し、鍼灸師の臨床に対する興味を削いできた。

各疾患の臨床効果を数人でも競い合う、「臨床大会」のようなものが開催できないであろうか?鍼灸師の臨床に対する関心が確実に高まり、日本鍼灸は全世界をリードするだろうし、国民から信頼さる。

しかし、お互いに各自の実力がさらされる臨床披露に耐えられる自信があるだろうか? 学会幹部の方にはご迷惑な意見であろうが。今回の東日本大震災では、なぜ鍼灸師は活躍できなかったのか?このような災害ほど本来、鍼灸が大活躍し、国民の期待に最も応えられる性格であるはずだが、これも現状鍼灸界のレベルでは無理であろう。

筆者なら、100人の被災者を30分で確実に治療できる。この集団治療では、70人の同時治療を動画でも発信している。それは「新鍼灸法」で検索、閲覧できる。

1989年には河南省河南中医薬大学病院の実験で、病棟の外50メートルの地点から病室内、脊髄腫瘍手術患者の治療を披露している。1日あれば一人で500人から1000人の被災者全員を確実に、著効あげる治療をすることができる。画期的回復が得られる。

勿論、現場を統括している関係者の許可を得ることはできないであろう。そこまでいかなくても、もっと正しい鍼灸治療を研鑽し、真に実力を有した鍼灸師が大勢いれば、ボランティア鍼灸師の審査など不要で、被災者の方から速やかに鍼灸要望が来ただろう。

現状では審査する鍼灸師の実力、判断を超える鍼灸治療、鍼灸パターンは受け入れられない。忸怩たる思いをしながらも、ボランティアに参加できなかった。

災害地に俊敏に対応し、活躍をする自衛隊員のように、鍼灸家が活躍できる時は来ないのだろうか?もっと大勢の助かるべき人の生命を救えたのである。

心のケアの必要性など、気休めを強調する前に、倒壊、転落事故による身体の外傷、内臓の障害、脳の障害を改善することが心の最大の治療になる。

それには日常の患者に対する鍼灸界の治療レベルの画期的向上による、国民からの要請と信頼が必然である。 肩凝り、腰痛を楽にしてほしいレベルの癒しのマッサージ的鍼灸、あるいは被災者から鍼灸で何が治るのか?と質問されるぐらいであろう。

あの被災者に真に貢献できなかった事実を、筆者は鍼灸界の一員としては痛切な恥辱としている。古代からの中国医師の秘密主義は、我国でも同じである。

指導者は自らの権威づけか、見学されることを嫌う。学習者も見学するほどの真摯さもない。見学させない、見学しないで成り立つ鍼灸界である。

筆者は35年の臨床において常に見学者を受け入れ、自らも積極的に見学に向かった、と言っても受診してみることが中心であるが。特に研究会発足後の20数年間、自らの治療を提供するため、こちらから積極的に見学を勧めて来た。

この新鍼灸法は動画で、指導内容を知ることができる。筆者は手を触れずに体内を診断し、建物の外から、あるいはドアの外から遠隔治療、空間治療する場面を披露している。

壁の外にいても全身の診断と同時に完璧な治療も20年前からセミナーにおいて、ビルの外から披露して来た。筆者の治療院ほど遠方から、毎日患者が来院するところもないだろう。

一日の患者数の最高は115人であった。終始、助手を使わない筆者一人での治療である。平成の世に、古代中国の神医・扁鵲の再現を希って、自己の透視診断に裏打ちされた透視治療鍼灸家を養成しているのだが、その志を熱く抱く鍼灸師がほとんど見受けられない。

職業選択の1つとして、安易な職として鍼灸学校へ入学した者がいかに多いことか?古代神医、扁鵲が病人救済の全国遍歴をしていた姿の再現を志す鍼灸師は、17万人のうち何人いるのだろうか?せめて10人くらいは居て欲しいと思っている。

3.新鍼灸法の特徴

まず、人体に対する既成の鍼灸法では、その四診も人体をマネキン人形の観察のように体表面に限定される。体内は西洋医学に画像診断を仰ぐ。新鍼灸法セミナーでは、診断から、治療、治療後のチェックに至るまで着衣のまま、着衣上から体表の軟部組織、体内組織、脳、骨格をスケルトン的に見ることを指導目標としている。

最近数年は、その透視的望診の指導法を日々開発しているので、セミナーにおいて脊椎の異常個所、あるいは腎臓、肺の炎症側、大脳の異常側を学習の初期から当てる実習をしているが、その修得の速さにこちらから驚くほどである。確実に透視的望診を修得している。

このように体内組織診断を西洋医学に委託することもない。採血では検出できない感染病原体も同定している。脳診断は、脳腫瘍の画像とも一致するし、画像診断で読影できない微細骨折のX線診断法もセミナー参加、整形外科医にも指導してきている。

以下が主な特徴である。

  1. 生体機能の明確な正常・異常の判定法の存在。西洋医学、全鍼灸法にもない際立った利点である。正常・異常とは治癒力の診断である。(筋肉反射テストを主とする)
  2. 回復力の診断ができる。生涯にわたる健康度の可能性の段階を予測し、そこから毎回の治療で確実に生体機能、健康度の段階が向上する。既成鍼灸法では各疾病に対した治癒に向けた経過と改善を目標にするだけで異常と正常の同じ健康度の段階での繰り返しである。
  3. 全身の各組織、器官の正常・異常を診断することができる。脳内についても各脳室、小脳テント、脳脊髄液循環、大脳辺縁系、基底核の組織まで。眼球では、角膜、水晶体、硝子体、網膜各部分、膝状体、眼圧の異常まで、熟練度に応じて全身組織の診断が可能になる。これは筋肉反射テストの活用と透視診断を併用する。
  4. 患者の自覚症状を望診で判断することができる(衣類上から四肢、体幹、内臓、脳内の障害組織、炎症部位を知覚できる)
  5. ①に挙げた組織の正常・異常の判定法の存在により、刺鍼治療後のチェックによる厳しい治療の正治、誤治の判定ができる。これから精度の高い正常状態、回復状態を知ることができる。
  6. 症状、病気の原因を知ることができる。古典理論で六淫、癘気、七情…等、多くの病因の可能性を説明しているが、実際の個々の患者に対する具体的病因は何かを特定できない。新鍼灸法では、現病に対する具体的病因を確定することができる。食中毒なのか、幼少時の事故のダメージなのか?多くの難病の原因に、左右の上腕静脈から採血による感染症であることも、その感染菌、ウイルスも同定することができる。
  7. 臨床面での特徴
  8. ○感染症の診断 組織の炎症、障害は、打撲等、物理的損傷が無い場合、他の大部分の原因は先天的か、後天的感染症であるか、あるいは次に挙げる微細骨折が原因となっている。

    〇微細骨折の診断 圧迫骨折も含め疼痛、しびれ等の症状は急性でない場合、頭部でも、四肢部でも必ず微細骨折がその患部の隠れた病因となっている。一般的画像診断で判読できない骨の損傷である。X線で異常なしとされた疼痛、しびれの原因である。

    ○微細骨折のX線診断法 通常のX線フイルムで読影できない微細な骨折を、通常のX線画像から検出する。

  9. 全身器官、組織を正常にするための新しい「気」理論の発見
  10. 全身器官、組織を正常にするための新しい「気」理論の発見 既成鍼灸での気とは、経絡を順行している気である。この新鍼灸法で言う気の流動とは人体を縦方向に3分割された空間領域を上下に流動するものである。主に動・静脈の脈管系が流動するもので、脊柱の左右2~3㎝内の領域、脊柱から右半身、脊柱から左半身領域を流動する。

    半身症候鍼灸法での刺鍼点
    治療刺鍼は中心症候ではイニオン(外後頭隆起)、左右半身症候では各左右の上項線上であるこの3領域の気の流動が上下に正常に流動すると、あらゆる全身組織の異常を回復させることができる。この3領域を流動する気の流れを正常にできなければ、種々疾患の高度治療効果、そして種々の難病、難治疾患に対する有効な治療は不可能である。大脳辺縁系、基底核の諸組織を初め、人体全組織を改善することができる。
    以上主な項目を挙げた。
4.新鍼灸法(半身症候鍼灸)とは?

半身症候鍼灸は既成の鍼灸法及び西洋医学と異なる別面から生体をとらえた、未知の生体現象を対象とする鍼灸法である。経絡とは異なる新しい「気」(生体エネルギー)理論の発見を基軸として、その気の流動の普遍的病位現象を正常にすることなくしては、全身器官、組織の障害、機能低下を正常化することができないとした鍼灸法である。

既成鍼灸での気とは、経絡を順行している気であり、人体の体表に近い浅部をザルでの竹の骨組みのように上下の経脈、横の絡脈を順行している線中の流れである。この経絡は解剖学的に検出されないものであるが、解剖学的に存在する動脈・静脈さえ古典理論には記述がない。

この新鍼灸法で言う気の流動とは、人体を縦方向に3分割された空間領域を上下に流動するものである。この流れとは動・静脈の脈管系が中心となっている。

この3流域とは、脊柱の左右2~3㎝内の領域、脊柱から右半身、脊柱から左半身の空間領域を流動している。この病位の3領域は各左右脊髄灰白質の機能低下、脊髄白質機能低下領域と一致し、さらに同側の右側脳室、左側脳室、第三脳室の機能低下、各左右大脳皮質、各左右大脳髄質の機能低下側とも一致している。

この3領域病位側を各半身症候といいます。治療刺鍼は中心症候ではイニオン(外後頭隆起)、左右半身症候では各左右の上項線だが、この各3領域のうち上下両方向への流動障害がある領域が異常である。この異常領域を正常な気の流れにできなければ、種々の難病、難治疾患に対する高レベルでの治療は不可能となる。大脳辺縁系、基底核の諸組織をはじめ、人体全組織を完璧に改善することはできない。これが既成鍼灸法はなぜ効果を上げられないのかの理由でもある。

これらの刺鍼点については、従来、脳戸、左右の天柱付近として公表してきが、骨度法での経穴名ととらえがちなので、正確を期すため名称を改めた。刺鍼後、診断に誤りがない以上、結果如何による選穴の追加あるいは補助的選穴は全く存在しない。それは、診断段階でその確実な効果を検証しているからである。

全身組織の異常診断と、その異常に対する最大効果が常時確実に得られることのみを追求し、既成鍼灸の未知の視点からの生体観察により創案したものである。古典における虚実補瀉理論も本治法、標治法の複合的理論も、その他各時代を経て編纂されてきた種々の雑多な治療理論も混入しない。きわめてシンプルで一貫性のある治療理論である。鍼灸治療の原点に還り、鍼灸法を問い直し誕生した。それは扁鵲が実践していた透視診断を中心においた治療理論として発展してきた。この透視的診断のない従来の鍼灸法が、西洋医学と対抗する治療法にも全くなっていないことは既に周知のことである。

日本鍼灸が、現状の鍼灸に価値観を求めるのであれば、そして真に治療の向上を追求するのであれば、従来の鍼灸の治療効果を直視しなければならない。果たして治っていたのか、あるいは治っていなかったのか検証し直すことである。

皆さんが、確実な治療効果の向上を追求する鍼灸師であるとして、さらに説明を進めて行きたい。

古典鍼灸理論、中医学鍼灸理論をはじめとして、従来の鍼灸では、民間療法レベルの効果しか望めない。実際に中医学にしても、各種民間療法を民族の伝統医療として高く評価している。民間療法と医療は峻別しなければ、正当医学としての鍼灸は向上しない。

従来の鍼灸学ではなぜ治らないのか?治らなかったの?

それは骨格理論が無いからである。奇恒の腑として古典鍼灸はすべての重要組織、器官を付属化してしまった。脳、脊髄理論が無いのである。内臓の解剖学が無い。更には、身体組織、部位の正常・異常の判定法がない。あるのは概念的非解剖学的陰陽・虚実理論である。解剖学的診断ができなければ、患者もどこが悪いのか?原因は何か分からない。患者自身が病因を理解できなければ治癒力は向上しないのである。

奇恒の腑として一括した、脳、髄、骨、脈、胆、女子胞の6種があるが、このうち胆を除く5種は、生体診断上最大に重要な器官で、例外の腑として付録程度に除外したことは、古典理論そのものが治療法として機能しないはずであり、この古典鍼灸理論では、編者が意図的にはずしたとしか考えられない。女子胞にしてもそれに対する男子臓器の精巣、精嚢、精管の診断法がないのも不完全である。

骨格系検査技量に習熟すると、骨格系すべてを理解することができる。骨盤、脊椎、四肢骨、頭蓋骨と。眉唾でも不思議でもない。現にカイロプラクティック、オステオパシーが専門領域にその診断のみを対象とした治療法として確立している。ここまで分かると次にはそれに収容された脳が分かる。そして脊髄、脳から派生する神経を介する内臓、五官器の障害を知ることができる。

その方式の鍼灸に疑問を呈するのなら、筆者の臨床を見学してほしい。新鍼灸法ではカイロプラクティック、オステオパシー医学以上の精細な骨格検査と微細骨折の重視に特徴を持ち、検査上、脊椎、頭蓋骨、脳、脊髄及び感染症も重視している。

新鍼灸法では人体全組織の診断が可能であることと、初診時の望診において、幼少時の転落事故、交通事故の受傷を予測でき、その痕跡を触診にて頭部の骨折、変形、脊椎の圧迫骨折を検証する。多くの患者の頭部の変形も頭蓋内脳圧の異常からのもので、刺鍼後1分でその頭蓋骨の変形が調整されてくる。何回治療しても頭蓋骨の変形が変わらないから従来鍼灸が治らなかったのである。

既成鍼灸法では、幼児期のあるいは、20年以上前の事故の影響、手術からの感染症の問題を検出できないから、難治疾患が増加していくのである。身体を深く知ると身体を通して、脊椎系、脳の損傷、そしてその血行障害からの脳組織の機能低下が、精神面の異常に至る関連性をも診断をすることができる。精神面の障害を改善する鍼灸治療は患者にとって最大の喜びの一つである。

最大の効果のみを追求した鍼灸臨床は、実際の治療室での臨床を収録したビデオ(たにぐち書店刊『鍼灸臨床現場シリーズ・半身症候鍼灸』)でご確認ください。各種疾患から犬・猫の治療まで多数の症例を収録しています。

5.半症鍼は「驚きを生む鍼法」がモットーである

ベテラン鍼灸師間で、アトピーは治らないねと、語り合う声を鍼灸研修会などで耳にする。著名鍼灸指導者が講習会でのアトピー治療の実技後、3か月も継続治療すればほとんど治りますと言うが、その場ではなんの変化もない。初回の治療後その場で変化が見られないアトピーではその後、改善したとしてもそれは治療で改善したのではなく、単なる患者自身の自然治癒力の作用に過ぎない。新鍼灸法では、初回の治療直後から確実にその場でアトピーが変化していく。鏡を見せると、その変化に奇声を発したり、あまりの変化に涙ぐむ人、唖然とする人、あきれる人、様々である。

と言ってもこのような話題を一般鍼灸師はほら話として否定するだろう。治る鍼灸を見たことがない。治る鍼灸を求め、自身で訪ね歩いたことがないからで、患者さえ必死に治る治療家を探し訪ね歩いている。対する鍼灸師は治る鍼灸を探す行動を起さない。鍼灸界は治す熱意のない不思議な世界である。

筆者の治療院では、飛行機を利用する遠方からの難病患者が多いのだが、数時間待合室で待った後、その治療時間はたった5分~10分足らずである。それは短時間に全身組織を網羅した診断があるからである。陰陽虚実、五行説、経絡理論は全くない。

新鍼灸法は既成鍼灸法、既成西洋医学が視えない世界を視ている

西洋医学は、体内組織を画像診断で視る。画像を視て、人体を視ていない。古典鍼灸も人体を古典鍼灸理論で視ている。X線、MRI、CT、エコー、PETでは各画像に写るものしか分からない。鍼灸理論も同様にその鍼灸理論で視えるものしか視ていない。競技場の夜間照明も、懐中電灯では、一点しか視えない。新鍼灸法は既成鍼灸法、画像診断法でも視えないものを視ている。

真の鍼灸治療には、未知の重要な生体現象が無限に存在する。セミナーにおいて受講者が理解できるよう指導法を永年工夫、考案してきた。受講者の実力を養成し、順次、一層高度な治療家の育成に努力している。人体は既知の知識だけではなく、治療家はもっともっと人体を知らなければならない。エビデンスなどは科学性に問題が多い西洋医学臨床こそ、克服しなければならないことで、鍼灸は西洋医学が治せない多くの難病、身近な疾患を治すことに徹すべきで、鍼灸師はすべての人々が楽しく仕事ができて、健康な社会生活を送れるように精進するべきである。

鍼灸界は多くの不適応疾患を挙げ、アトピー皮膚炎、脊柱管狭窄症などもあきらめの対象にしているが、半症鍼では目覚しい効果を上げる疾患に過ぎない。日本鍼灸は治すことを完全にあきらめ、効果が不明瞭な美容鍼灸に逃避する時代なのだろうか?

6.高度鍼灸と筋肉反射テスト

高度鍼灸とは扁鵲治療の再現(透視診断重視)であり、精細な筋肉反射テストにより可能

多くの慢性疾患に無力な東西医学に代わり、国民が求める医療は唯一、新鍼灸法しかない。民間療法と同程度の効果の鍼灸に存在価値はない。新鍼灸法は透視診断を基盤とした扁鵲、華陀の透視治療の再現治療家の育成を目標としている。

古来、上工は望んで之を知り、中工は問うて之を知り、下工は脈をみて之を知ると言われていた(傷寒論・平脈編)とある。脈診依存鍼灸は古代においても下工であるのはなぜか?六部定位の左右臓腑脈状は同側の脳動脈の拍動と一致し、臓腑の補瀉などしなくても、容易に脳動脈の改善で即、正常脈になる。

古典鍼灸では痛みを重視していながら左右側の脊髄灰白質の診断さえできない。正しい診断法は、刺鍼前の診断段階で刺鍼後の効果を知るはず。そして刺鍼した瞬間から生体体内までの生体回復の変化過程を確認できる。

2~3秒間に、脳内の呼吸運動、脳、体内内臓、身体全体の循環の改善と、全身神経系の改善が順次発生する様子を観察することができる。なぜ数10分も置鍼しないと症状が消せないのか?高度鍼灸を追求する鍼灸家は、正しい筋肉反射テストの体得から扁鵲の透視診断的鍼灸の道を目指せるのである。

高度治療の3条件
  1. 正確な筋肉反射テストにより、術者自身の診断で生体を知る(すべての異常箇所、異常時に筋力が低下する)
  2. 古典鍼灸理論の払拭(治らない理論はすべて誤り)
  3. 基本的診断法は望診を極めた透視診断を目指す
筋肉反射テストの意義

「正しい筋肉反射テスト」の導入は、鍼灸から西洋医学まで臨床医学全般にわたり画期的進歩をもたらすことができる。刺鍼の鎮痛作用は決して治療効果ではない。逆で知覚鈍麻作用から、生体組織の機能低下が生じ機能回復を遅延させる。確かに多くの痛みが消える。しかし治らない。これが鍼灸の定説であるが、痛み症状の消失で治ったとする鍼灸から脱皮して、治すことは生体機能の向上であるというパラダイムシフトが必要である。

筋肉反射テストは症状即異常であるという、西洋医学と共通の誤った治療理論を知ることができる。筋肉反射テストは鍼灸において最も導入が容易で、かつ最大の効果を発揮できる。

正確な筋肉反射テストの活用は、高度鍼灸法における3大ポイントを実現する
  1. 異常の原因、因果関係を検証することができる。
  2. 従来の診断法には全身の各異常部位の原因、因果関係の診断法がない。難病の多くが感染症が原因で、健康診断による上腕静脈からの採血による感染であることも多く判明する。

  3. 感染症の診断法(現代西洋医学が最大の欠陥が感染症診断にある)   西洋医学的、血液検査のみでは、組織内の感染症を検出できない。
  4. 微細骨折の診断法(打撲、外傷での疼痛の一部しかX線で判読できない)
2種の刺鍼法(半身症候鍼灸法における)
  1. 金属鍼による刺鍼:直接鍼は常時0番鍼の1寸で充分。子供は?鍼を使用。
  2. 気鍼:子供などに使用。?鍼に代わるもの。気により作る形のないエネルギー鍼
7.半身症候カテゴリー診断とは何か

高度鍼灸のための気の症候

触診でも明瞭に分かる半身症候側

半身症候鍼灸法の最大の特徴ともいえる「半身症候カテゴリー診断」とは、右半身・左半身・中心という3区分される気の流動障害領域側の診断である。それがそのまま診断名となり、同時に刺鍼治療ポイントとする診断と治療のシステムである。

この説明では、専門的な知識を持つ鍼灸師の読者の誤解を生むと考えられるので、ここでもう少し詳しく説明しておきたい。

「半身症候側」とは、慢性の機能低下側を含め、診断時点での患者の最大病位側を表し、急性症状の多くがこの病位側に出現する。時には症状のない側が知覚鈍麻され病位側(半身症候側)であることも少なくない。その場合、症状側は打診、あるいは触診すると弾力が消失している。

半身症候鍼灸では筋肉反射テストによって半身症候カテゴリーを診断し、触診による診断と一致することを確認する。

右半身症候の例で言えば、頭部の右側、背中の右側、胸部の右側、腹部の右側といった箇所を指先で軽くスナップをきかせて叩くと、同じ箇所の左側と比べて低く鈍い音がする。さらに、全体的に右半身の筋肉や皮膚、内臓などが弛緩状態で体温も低いということが分かる。これは人体を縦断する血液循環と神経機能低下側を示している。

特に頭部を叩いてチェックすると患者の誰でも、自分の頭部の音程の違いを理解している。これまでの鍼灸には知られていない診断現象である。全身の症状はすべてこの半身症候カテゴリーに何らかの形で結びついている。

半身症候カテゴリー診断では筋肉反射テストとこの触診を併用し、診断を裏付け確定する。

半身症候カテゴリーの詳細な解説

半身症候カテゴリー側には次のような特徴があります

●右半身症候
人体の正中線より右半身に重大な機能低下が起きており、現時点でのこの領域の患者の訴える急性の主な症状と関連している。右気管支・右脊髄灰白質の機能低下。右大脳皮質、右脳幹部、右側脳室が弛緩して機能低下している。
●左半身症候
人体の正中線より左半身に重大な機能低下が起きており、この領域の患者の訴える急性の主な症状と関連している。左気管支・左脊髄灰白質の機能低下。左大脳皮質、左脳幹部、左側脳室が弛緩して機能低下している。
●中心症候
人体の正中線より左右3センチ程度のエリアに重大な機能低下が起きており、この領域の患者の訴える急性の主な症状と関連している。気管・脊髄白質の機能低下、大脳髄質・第三脳室が弛緩して機能低下している。
これら3つのカテゴリーにその複合も加え、①右半身症候②左半身症候③中心症候④右半身+中心症候⑤左半身+中心症候⑥両半身症候(右半身+左半身)という6種類の半身症候カテゴリーが存在している。
茂木昭 著 「奇跡の新鍼灸と手技治療(「生命のささやき」の改訂版)」より抜粋、一部補てん
8.少数穴治療の意義
ツボについての先入観

半身症候鍼灸法の治療では1~2箇所の反応点のみの刺鍼で他の刺鍼、灸など他の一切の治療はない。というより一点でも加算するとすべて生体は機能低下する。この点については既成の鍼灸を採用している鍼灸師は否定的である。「人を治すにはたくさんのツボを使う必要がある」という先入観がいかに強いかということであろう。

昭和初期に本治法を重視する治療法を確立した始祖の1人、柳谷素霊先生でも本治法の一方で、個々の症状に対する一カ所への刺鍼「一本鍼」を提唱している。素霊先生の一本鍼は対症療法だから、全身の症状に対処した特効穴では必然的に数多くのツボを使うことになってしまう。

治療するツボは少ない方がいい

鍼灸における治療のメカニズムには諸説あるが、脳・脊髄を中心とする神経系からの働きかけによって全身を調整し、本来の生命力・回復力を引き出すという視点に立つと少数穴治療の意義が明確に見えてくる。

かつて大自然の真っ只中で生きていた人類には、今でも敏感な感覚が宿っている。例えば、毒虫の一部が皮膚に触れたり、毒蛇の尾を踏んだりした一瞬の刺激に対して、人の神経系は瞬時の反応を示して危険を回避する。それと同じことで、半身症候鍼灸法における1~2カ所の鍼による弱刺激はその全身機能に対する診断が正しければ、弱刺激なり弱刺激ほど生体全身、脳内全体の回復経路に刺激が波及する。

ところが、5本10本と刺鍼していくうちに、皮膚から求心性のインパルスが脳内経路の混信と、調整作用、治癒機能を低下させる。

身近な例では、握りこぶしで机などを何度も叩いた場合に同様の現象を確認できます。最初の数回は痛みを感じていても、回数が増すほどに痛みが感じられなくなってくる。これは繰り返された刺激によって神経系の働きが鈍麻し、鎮痛作用が生じるからである。

全身を正確かつ精緻に診断した上での、1~2箇所の刺鍼でなければ心身のすべての問題に対処できない。